おじさんの話

いつも同じ電車で同じ駅で降りるおじさんがいる。
水曜日はいつも一本早い電車に乗るのだけど、おじさんも一本早いのに乗っている。
使い古したクラッチバッグをぶらぶらさせて哀愁漂わせながらノソノソとペンギンみたいに歩く。

駅からまっすぐ、程よい距離感を保ちながら歩いて、突き当たりで左右それぞれ別の方向に進む。
おじさんがどこへ向かっているのかは分からない。

何を話すでもないけれど、おじさんの存在に少し元気を貰っている気がする。